かのひと

遠くに、ずっと支えてくれていた人がいる。いい意味で、悪い私を支えてくれている人だ。

 

お金のために続けていた仕事先で出会った彼とは、まだ知り合って10ヶ月程度だろうか。この人はお金にだらしがない。でも、とてもまっすぐで好奇心旺盛な人。部下思いで、いい意味でバカで、嘘つきでクズでダメ人間。

 

互いに、会わない距離にいるからこそお互い誰にも言えない悩みを打ち明けて来たし、泣いたり笑ったり、憧れのデートプランの話をしたりしてきたんだと思う。私は、彼が一生懸命仕事してるのを知ってるし、職場のアルバイトの女の子たちな誕生日に何をプレゼントするかも知ってる。常連さんのことも知ってるし、両親のことも、最近できた彼女さんをとてもとても大切にしていることも知っている。

 

 

彼女のことを好きになってしまった、と連絡が来たときはとても弱気で、毎日毎日珍しく弱音を吐いてうじうじしていたくせに、いざ想いが実ったら文字からニヤニヤが伝わるくらい浮ついていた。だから、なんとなく距離を取らなきゃと思っていた矢先、今までと何も変わることはないから、何も気にしないで連絡してほしいと言われて鵜呑みにしたのが年が明けてすぐくらい。

1月の末にパッタリと既読がつかなくなった。ブロックはされていない様子(ここは元メンヘラの術でチェック済み)。多分彼女さんに何か言われたんだろうなぁって、私はとても大切な友達を一人失った気分でどうにもくだらないことではしゃげない。今まで夜中に3時間話し込んでた時間がただの睡眠の時間に変わった。その3時間でやってたストレッチも部屋の掃除もしなくなった。私もダメになってった。

 

 

今日、バイト先を辞めた。ずーーっと長いこと辞めたいと泣きながら話していた。彼が一番理解を示してくれていた。同じ業種の店長として、私が働く環境がいかにおかしいかを一番求める共感で拾い上げてくれていた。未読のままのトーク画面に、「久しぶり。今日辞めて来たよー。」とだけ打って送信。きっとこのまま既読がつくことはない。そしたらこの名前ごと消してしまおうと思った。月末からの転勤先は知っているけど、これからのことはわからない。きっと一生、会うことのない人なんだと思う。いい人だったよなあ、バレンタイン何もらったのかなあ、ホワイトデー何返すんだろうなあ、物件みつかったかなあ、なんていろんなことが頭の中でぐるぐる回った。既読は送信と共にすぐついた。なんだかどきっとした。

 

だからすぐに閉じた。返事は来ない。